鋼の錬金術師9巻/荒川弘

鋼の錬金術師は9巻購入。

最初のころは明るい漫画だったように感じたが、

今となっては人間の黒い部分を少年誌なりに巧く書かれているのではないか、と思う。

大衆うけする作品に共通するキーワードとしてよく挙げられるものをまとめれば、

つまるところ広義の「純愛」「恐怖」である。

この2つを人間の基本欲である、「性欲」「食欲」「権力欲」「所有欲」の4つに照らすならば、

「純愛」は明らかに「性欲」「所有欲」「権力欲」の対象である。

で、「恐怖」とは、これらの否定の「所有欲」と捉えるのが妥当かと。

自分が「恐怖」の対象になるのは嫌だが、その状態を知りたいという「所有欲」、

まぁ、怖いものみたさ、で便利な日本語がある通り、その状態だろう。

で、この鋼の錬金術師はことごとくの欲を否定していく。

「所有欲」が強すぎる余り、自分の体さえ切り裂いてしまいたいバリー。

「権力」をもつはずの国家錬金術師なのに、上部からの力に翻弄されるエド、ロイ。

そもそも、エド錬金術師になった理由そのものも、錬金術の禁呪に触れるため、

と背徳的なりゆうであったりする。

ところで、

さすがに大風呂敷を広げまくられてて、複線はりまくりなので、

話がつかみ辛くなってきた。

もう1回読み直そうかなって。

鋼の錬金術師 (9) (ガンガンコミックス)

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