法月綸太郎の功績/法月綸太郎

法月綸太郎は「法月綸太郎の功績」を読み終わり。
短編集で5本収録。
「イコールYの悲劇」
「中国蝸牛の謎」はカタツムリの薀蓄満載。
「都市伝説パズル」は都市伝説を元ネタにした作品。
サクッと読めて面白かった。
ABCD包囲網」は自主マニアの男のお話。
「縊心伝心」は好きらしい愛憎物。
ロジカルな推理で有名な法月綸太郎
ミステリー小説って、小説なのだから、
後付けで色々な物証やらアリバイやらが書けるわけで、
そういうわけかどうか、
ミステリー小説には密室、ダイイングメッセージ、本格、社会派、新本格
もう何がなんだか分からないが、
ロジカルな推理な文章を書こうと思うと前後で論理矛盾が生じてはいけない。
かつ、情報を出しすぎてはいけない、
かつ情報を出すにしても直接出すのではなく、間接的に小出しにしなければ、
ロジカルな話にはならない。
いや、ロジカルな話にならないってのは語弊があって、
直接情報を出してしまえばそれがすなわち消去法なり、なんなり思考方法の基となり、
思考する、すなわち推理すると思うが、それはその実論理的な推量をするということなわけで、
それはロジカルの定義にもよるが、どんなジャンルのミステリ、密室物であろうとも、
社会派なので犯人を現行犯で捕まえない限り、
つまりは探偵と呼ばれる役割の人間のいるミステリー小説においては、
ロジカルな推理をしているのだとは思う。
が、法月綸太郎がロジカルな推理で好評を博しているのは、
間接的な情報を基にしてその情報の本質を見抜きつつ思考するのがよいのだと思う。
かつ、そこから導き出されるであろう多数の結論、
個々の情報から、真である確率が高いであろうとされる結論から、
またさらに絞り込んでいくわけだが、
まぁ大抵この辺で、もう1つくらい情報が出てきて絞り込める、みたいな感じだと思う。
で、ここで生きてくるのが序盤、および中盤に書かれている、
地の文や会話中、もしくは作中で、
関係がないであろうと一読しただけでは思ってしまうような短文で書かれたる情報や、
ふと書かれる薀蓄めいた情報が鍵になったりするパターンが好まれるのでは、
と個人的には思うよ。
そういう意味で殊能将之などは分かる人にはかなり楽しめるらしいが、
私は「鏡の中は日曜日」くらいしか元ネタを知っているのが無く、
そういう細かな情報は拾えずじまい、
殊能将之はそういった情報をおいてはおくが使わず話を終わらせ、
分かる人にはわかるようにしているらしいから。

法月綸太郎の功績 (講談社ノベルス)

法月綸太郎の功績 (講談社ノベルス)