笑い?

まずは笑いを分類しよう。
笑いには、
①人をネタにして笑いをとる
②自分をネタにして笑いをとる
③誰もネタに使わない笑い
の3つがあると島本和彦は言う。
さて皆さんも賛同してくれるだろうが、
この3つの大小関係は、
③≧②≧①
であろう。
であるから、もし我々が笑いをとろうとするのならば、
目指すべき笑いは③なのである。

しかし、③の笑いを修めるのはかなり難しい。
なぜか?
この問いに逆説的に答えるならば、
①の笑いは誰でも簡単に使うことができ、
②の笑いは自分をさらす勇気さえあればよいからである。
つまりは、比較的容易に①および②は私たちも利用することが出来る、
ということである。



さてみなさんのなかには上記に私が記したことは本当なのだろうか?
と疑っている人もいるかもしれない。
では皆さんに今回思い浮かべて欲しい人たちがいる。
エンタにでている若手お笑い芸人たちだ。
では、簡単に分類していこうか。


①に分類されるもの:
青木さやか だいたひかる 友近 長井秀和 波田陽区 はなわ


②に分類されるもの:
インパルス アンジャッシュ カンニング ヒロシ 


③に分類されるもの:
陣内智則 マギー


とまぁこんな感じである。
なんと①の多いことか。
それに加え、②と③の少なさはどうだろうか。
これをみるだけでも容易に①の笑いは作りやすいのがわかるだろう。
また、反対に③という笑いの難しさもわかるだろう。


では、②の笑いとはどんなものだろう。
基本的に自虐的であるため、なかなか一発屋的なものになってしまう。
なぜなら、そんなにも多くは自虐ネタなんて一個人には無いからだ。
その点、インパルスやアンジャッシュは、
自虐をコントを用いて表現するため、
1つの自虐ネタで1本のネタを作ることが出来る。
しかし、ヒロシは自虐を連発するしかないし、
カンニングは勢いでごまかすしかない。
この辺を見極められ、どうするかが、
おそらく売れるか売れないかのラインであるのだろう。


では、③はどうか。
③の笑いは基本的に他を傷つけないため、
世代間を問わず、万人ウケするものが多いと思われる。
その筆頭がマギー一門だろう。
皆さんのなかには、
マギー一門というのは手品が出来ない、ということを自虐しているではないか、
と思われる方もいるかもしれない。
しかし、これは明らかに自虐ではない。
マギー一門の場合はすでに、
手品が出来ないとしていること自体が皆に知れ渡っており、
皆が最初から知っている既成事実である。
つまり、私たち観客は手品が出来ないと前提でネタをみることになる。
そして、マギーが巧みな話術と芸で皆を和ませる、
といった芸風である、と私は分類する。


では次に陣内の笑いの基軸を例えを使って示してみよう。
それは服のボタンを掛け違えて着てしまったのだけれど、
それはそれでアリだった場合のようであり、
またそれは、自動販売機でコカコーラのボタンを押したのに、
ドクターペッパーが出てきたような場合のようなものであろう。
なんとなく、例えが分かりにくい気がするので簡潔に言いかえるならば、
私たちが生活していく上において、
そこにはある種の予定調和を感じることが出来たり、
または、私たちの経験から結果を予測出来たり、
もしくは結果を分かることができる。
その結果を捻じ曲げてやるのが彼の笑いではないか。
例えば、雨が降れば、人はみな傘をさしたり雨宿りしたりするだろう。
目的地まで走る人もいるかもしれない、
タクシーやバスに乗り込む人もいるかもしれない。
しかし、だれも道路に出来た水溜りで泳ごうとはしないだろう。
こんな人がいたら、はっきり言って危ない人に他ならない。
ほかにも変わった行動は色々あるだろう。
雨に対して液体窒素をぶっ掛けて氷をつくり、
それでカキ氷を作る、ということもあるかもしれない。
だが、これも電波だ。
私には才能が無いので良い例が挙げられないが、
ここらへんで、ちょっとクスッとできる変な行動を見つけ出せるのが、
おそらく陣内の笑いのキモであり、力なのであろう。


なんやら導入だけで長文になってしまったので、
今日はこのへんで。