ラマヌジャンとハーディ

さて、ラマヌジャンとハーディの有名な逸話として次のような話がある。
ラマヌジャンが慣れぬイギリス生活によって死の床に伏せっていたとき、
ハーディはよくお見舞いにいった。
ハーディは病院にいくのにタクシーを使っていった。
その際のタクシーのナンバーが1729であり、
なにかつまらない数字に思えたようだ。
このことを病院でラマヌジャンに告げると、
ラマヌジャンがそれを受けて言うことには、
「面白い数ですよ。2つの数の立方の和として2通りに表せる最小の数です」
と即答したそうだ。
具体的に書くと下のようになる。
1729=12^3+1^3=10^3+9^3
この逸話はやもするとラマヌジャンの天才ぶりを示すだけで終わってしまいそうであるが、
とある先生がこの逸話の正確な解釈を説明していた。
2人の研究の範囲内である、とある整数をn個の整数の立方で表せるか、
といった問題を考える際に、まずは立方の和が0となる場合を考えるそうだ。
そのさい、4つの立方の和が0になる最小の組み合わせが、
12と1と−10と−9であるそうだ。
つまり、ハーディはこのことを知っていて当然だったわけで、
彼が聞きたかったのは1729がつまらない数か、
ということではなく、病に倒れてはいるがちゃんと研究は続けているか、
ということを聞いていた、ということだそうだ。